新製品が続々誕生する今、
改めて語る「B.Aのデザイン」。

江藤 晴代

ブランドデザイン部

第4世代からデザイン担当としてB.Aに携わり、第6世代ではチームリーダーとしてブランドの世界観の表現と、拡張するアイテムの統一感の演出に尽力。「デザイナーであるとともにアーティストであれ」が信条。

アートとして、感性を刺激するデザインを。

現在第6世代を迎えているB.Aのプロダクトデザインは、化粧品としてはかなり個性的です。それは、ポーラが「Science. Art. Love. 」をキーワードに掲げ、基幹ブランドであるB.Aのプロダクトデザインでは、特に高いアート性を追求しているから。単に「きれい」「素敵」では終わらない、例えば彫刻作品のように、置くだけでその空間が変わるような存在、感性を刺激するような存在になることを目指しているのです。

デザインの基本は、すべての色を包括するソリッドな黒と、シャープな面とエッジで構成されながら、並べた時にそれぞれが異なる曲線を伸びやかに描くフォルム。このミニマルなデザインの中に、ブランドの世界観=サイエンスと生命美、そして現代をしなやかに生きる女性の美しさを表現しています。

COLUMN

「新たな発見をする喜び」と「想像力が拡張していく心地よさ」を今にも動き出しそうな、伸びやかな造形で表現。
アイテムごとに置き方ひとつでも表情が異なります。「内に秘めた無限の可能性」を、すべての色を内包する「黒」に込め、感性を刺激するデザインに仕上げています。

「ポーラだからこそ」のデザイン誕生の舞台裏。

B.Aのデザインは一見シンプルですが、社外のデザイナー仲間から、「こんなにアート性も技術も高い仕事ができるなんて羨ましい」と言われることもしばしばです。それが実現できる背景には、ポーラがプロダクトデザインを外注せず、インハウス(グループ社内)で行っていることがあります。どのプロジェクトでも、立ち上げのコンセプトワークから、商品企画チームとデザインチームがタッグを組むのがポーラ流。必然的にブランドやプロダクトへの理解は深まり、それがデザインに反映されるのです。特に第6世代のB.Aは、ブランドのキーワードになる「生命とは?魂とは?」という哲学的な問いからスタート。時には専門家の力を借りたり、ポーラ美術館に赴いたりしながら、何ヶ月もディスカッションを重ねました。

こうして議論を深めつつ、イメージを大量のデザイン画や模型にする作業も同時に行います。普通はそこから案を絞って…と思われがちですが、ポーラはものづくりにこだわる会社。「このテーマならこんな感じ」「この形は難しいからこっちで」という予定調和は受け入れてもらえません。デザインしてはディスカッションし、またデザインする…を、永遠に続くの?というほど繰り返します。こうして決定した最終デザインは、一般的な製造方法では精度的に実現困難なものでしたが、高度な技術を持つ容器メーカーさんと膝を突き合わせて調整することで、なんとか製品化に漕ぎ着けました。

COLUMN

議論と検討を重ね、2案までに絞りましたが、最終的に決定したデザインはよりシンプルなデザインでした。

変えること、変えないことを見極める。

B.Aは今、アイテムも増え、デザインも新しいフェーズを迎えています。ここで大切なのは、新たな挑戦をしながらもブランドの世界観を守ること。これについてはデザインを統括するリーダーとして、強い使命を感じています。

基本のスキンケア5品が生命の深さを包括するデザインの起点なら、植物の神秘的な姿に着目したメークでは個性や多様性を、スペシャルケア品では季節性や商品特性を表現するなど、それぞれにストーリーを持たせつつ、統一感を演出しています。

例えば「B.A セラムクッションファンデーション」は薄く重ね付けする特徴を、繊細で多層な花びらを持つラナンキュラスで表現しました。「B.A ローション ダリア リミテッドエディション※1」ではフラワーアーティストの東信さんの作品のダリアとコラボレーション。「B.A アイゾーンクリーム N」(2022年10月1日発売)は、従来品の細く縦長なアイデンティティは踏襲しつつ、第6世代らしい揺らぎを加えています。

COLUMN

B.A セラムクッションファンデーション

外部環境から常に変化する繊細な肌のように、ゆらめく繊細な輝きを持った、ラナンキュラスの花をあしらいました。一枚ずつ重なる花びらによって、生命の躍動や煌めき、そして奥行きを感じさせるデザイン。

2022年9月1日発売

B.A ローション ダリア リミテッドエディション
(販売名:ポーラ B.A ローション N)

生命力に満ちて美しい「ダリア」は多様な生命美や生命力の象徴。B.Aのブランドカラーである「黒」から「赤」へのグラデーションは、B.Aの中に内包している生命美が沸き立つ様子を表現しています。

2022年10月1日発売

B.A アイゾーンクリーム N

「さまざまな可能性を秘めた幹がのびやかに成長していく生命感を感じる動き」を表現。ブランドカラーの黒から明るい光へとのびあがるように感じるグラデーションは幅の調整を何度も行いました。

また、デザインは、時代の価値観とともに変化します。近年の環境への意識の高まりを考慮して、B.Aもリフィルやバイオマスペットの採用などに取り組んでいます。ただその反面、「◯◯レス」のストイックさだけでは得られない力が、デザインにはあるのも事実です。
人生100年と言われる時代、心豊かに生きるためにも、感性を刺激し続けることは大切。だからこそ、環境問題と感性を両立する新しいデザインを生み出したいと、私たちは考えています。中身とともに、デザインも進化し続けるB.Aの未来に、これからもどうぞご注目ください。

  • 1 販売名:ポーラ B.A ローション N

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