馬場喜美子さん

「ディエム クルール」が創り出す、
一人ひとりの個性に寄り添う、やさしく新しいメークの世界。

ブランドクリエイティブ部
馬場喜美子

「ディエム クルール」ブランドのスタート時にチームにジョイン。SNSで反響のあった「カラーブレンドパウダーコンシーラー」の開発も担当したヒットメーカー。今回もアイデアいっぱいのアプローチで既存の概念を覆すアイテムを企画。

「似合うを探す」から「合わせて輝かせる」へ。

皆さまは、ポーラのメークブランド「ディエム クルール」をご存じですか?ブランド名を知らない方でも、マーブルカラーのファンデーションやコンシーラーは、見たことがある!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ディエム クルール

「ディエム クルール」は2018年に誕生し、現在8アイテムを展開中。なかでも「カラーブレンドパウダーコンシーラー」はSNSで火が付き、20〜30代を中心に多くの方に話題にしていただきました。この見た目から、個性的ないわゆる「映えアイテム」と思われるかもしれませんが、実はこのカラフルな見た目には、ブランド全体を通して大切にしているある想いと、それを実現するためのサイエンスが込められているんです。
それは、「使う人を選ばずに、その人が持つ唯一無二の美しさと個性を活かし輝かせる」ということ。多様性の時代と言われる今、多くのメークブランドはたくさんの色やアイテムを提案することで、多様な個性に対応しています。ところが「ディエム クルール」の発想はその真逆です。
点描画の効果と色立体視効果に着目した独自のカラートリック設計によるカラフルな色が、どんな肌色や個性にも寄り添い、その人の魅力を活かしていく。いわば「似合うメーク品を探す」のではなく、「メーク品がその人にスッと合わせていく」、そんな新しさを持つメークブランドなのです。

眉も髪色も服装も年代も性別も選ばない、アイブローペンシル。

この「ディエム クルール」から新しく登場したのが、「カラーブレンドアイブローペンシル」。写実画家の三重野慶氏が描く眉が、平面なのに自然で立体感があることに着目しています。画像解析などの結果、「眉の色の明るさに差があるによる立体感」がその要因のひとつであることを突き止め、さらに、「黒の顔料を使わずに多色を重ねて眉を描く」という技法をヒントに開発を進めました。こうして誕生したのが、一般的な黒の顔料を配合せず、輝度に差が出るように厳選した黄・赤・青の3色を1本の芯にした、このアイブローペンシルです。
 
通常はさまざまな眉の色に合わせて多色展開されるアイブローペンシルですが、「ディエム クルール」はこの1本1色だけ。黒で眉を塗りつぶさず、自毛をカバーしながらその間にカラフルな色を点在させることで、さまざまな眉毛や髪色にもしっくり馴染み、立体感のあるブラウン眉に仕上げます。もちろん、簡単に自然に描けるよう、ふんわり感の出る柔らかさと、ベタっとならず、でも肌には密着してくれる固さのバランスを追求。涙型の芯先で面でも線でも描きやすい工夫もしています。

テスト段階で、眉も髪色も違う2人の方に同時に眉を描いてもらったら、「本当に同じ物ですか?」と聞かれるくらいそれぞれ自然になじみながら、違うアイブローを使ったような色と仕上がりになり驚かれたことがありました。他にも「眉メークが苦手だけどこれなら描ける」「ファッションやメークを変えてもこれ1本で大丈夫そう」「白髪でも眉が浮きにくい」「眉を描くハードルが下がる(男性)」「色を選ばないからプレゼントに良さそう」など、さまざまな方からの色々な声をいただいています。私自身、「一人ひとりの個性を引き立てる」の「一人ひとり」が「ヒューマン」である、という意識を持っていれば、きっとさまざまな人に届くはずと考えていたので、その想いがこういう声につながったことはとても嬉しく感じています。

新しいプロダクトを創り出すための、手作業というこだわり。

最後にひとつ、どうしても皆さまにお伝えしたいことが…。このアイブローペンシルの理論、机上では成り立っていましたが、製品化は苦難の連続でした。たとえ成形できても、基準の輝度コントラストを満たさなかったり、色が偏ってしまったり…。試行錯誤を繰り返し、安定した製品化が可能になった時点で私も工場に視察に行ったのですが、そこには驚くべき光景が!製造のかなり多くの工程が、手作業で行われていたんです。
秒数や力加減まで決められたさまざまな工程を、まるでパティシエが繊細なスイーツを作るように作業している工場スタッフの方たちの姿は、本当なら皆さまにお見せしたいくらい!残念ながら企業機密で公開できませんが、ここまでこだわる「ポーラらしさ」も、ぜひ皆さまがお使いになる際に感じとっていただけたらと思います。


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