
美白の新時代をイメージした「エウレカ!ピンク」。
誕生までと、これからのこと。
ブランドデザイン部
渡辺 有史
ショットブランドを中心に数多くのデザインに携わる。プライベートでも常に素材に触れ、ものづくりをしていたいと語る「生きる=創造」の人。夢は自身の作品での個展開催。
デザインコンセプトを、「美白」から「衝撃」へ。
ポーラの美白ブランド「ホワイトショット」は、長年、白を基調としたデザインを踏襲してきました。そんななか、2024年の「ホワイトショット フェイシャルセラム」の発売に向け、新しいデザインを!という課題が私たちのチームに投げかけられたのですが、当時、従来の美白の世界観から抜け出せずにいた私たちは、どれだけスケッチをしても「新しい」「変わった」という案が生まれませんでした。いよいよ手詰まりとなったある時、「一度原点に還ろう。この製品の何がすごいのかをもっと突き詰めよう」ということになり、改めて、研究内容の話を聞く機会を設けたのです。
その取材で私が研究員に対して感じたことを正直に言葉にするなら…「この人たち、『すごい』を通り越して『ちょっとクレイジーなんじゃない?』」でした(笑)。ちなみにこれは、私的には最上級の褒め言葉です。同時に、似たもの同士を見つけたようなワクワク感もありました。私自身、「新しいものをつくる時は必ず何か新しい要素を入れる」を信条にしていることもあり、彼らの常識破りとも言える「新しいこと」へのこだわりに強く共感しました。また、仕事で得てきた肌知識もあるので、「そこに着眼するのか!」というサイエンスに対しての驚きもありました。
この研究姿勢とそれを知った今日の衝撃を一番に、伝えたい! デザインでも、美白の常識を打ち破ろう。そんな勇気をもらい、デザイン検討の方針を修正しました。


デザイナー人生を賭けた「美白にピンク」という提案。
デザインの検討をするにあたり、まずは形状や容器に配するロゴなどグラフィックでの表現にチャレンジしました。しかし、こだわるほどに「なぜこのデザインなのか」という説明が必要になりシンプルな驚きから離れてしまうと感じて却下。
となると残るは色です。
ポーラの研究員の常識破りな研究姿勢や想定外の着眼点の驚きを表現する色を見つけるために、あらゆる事象から「知っていそうで知らない驚きの事実」を洗い出しました。そんななかで出会ったのが、「誰もが知っている7色の虹だけれど、絶対に交わることのない端と端の色を組み合わせるとピンクになる」という現象。これを知った時「なんとしてでも、企画にピンクを通したい」と思ったのを覚えています。
そこからは、ベビーピンクからショッキングピンクまで、あらゆる色味を検討し、現在の色に決定。古代ギリシア語の感嘆詞と組み合わせ、発見の驚きを表現する「エウレカ!ピンク」と名付けました。
でも、そこから先がさらに苦難の道のりでした。何より緊張したのは、全面ピンクのデザインを社内の会議で提案する場です。これを初めて見る社内の人たちがどう反応するのか?これを採用することで、今まで築いてきたブランドイメージが崩れてしまわないのか? デザインのせいで売り上げが落ちたらどうするのか? そんな不安もよぎるなか、最悪の場合はこの会社を去ることも考えながらプレゼンしていたんです(笑)。
決定が降りた後も、想定していた色がまったく出なくてギリギリまで調整したり、嫌な汗を何度もかきました。そんな時間を経て、「美白にピンク」の衝撃のデビューから1年。今こうして、皆さまにピンクのホワイトショットを受け入れてもらえることを、とても嬉しく思います。
問いと感性の揺らぎを生むデザインを、これからも。
「Science. Art. Love.」を掲げるポーラにとって、プロダクトデザインはアートの大切な要素のひとつです。一般的にデザインは、何か伝える課題があり、それを解決するためのものと言われますが、ポーラのデザインはどちらかというと、「これはなんだろう」という問いを生んだり、日常のなかで感性を刺激する存在を目指しています。
ピンクのホワイトショットも、「美白なのにピンク?」という驚きを感じたり、さらにはその意味を探ってもらえたりしたら、デザイナー冥利に尽きますね。
また、3月には「ホワイトショット セラムUV」が発売になります。進化の象徴として全面ピンクだった「ホワイトショット フェイシャルセラム」に対して、こちらは白をベースに、ピンクのロゴがまるで本体から飛び出すようにあしらったデザイン。キーカラーのピンクが、ホワイトショットブランドのなかでこれからどのように使われていくのか、そんなところにも注目しながら、ぜひホワイトショットブランドでのケアをお楽しみください。