自分の人生は自分でしか決められない。自身の選択を正解に導いていく/石川祐希さん
大学在学中に男子バレーボール日本代表に選出され、大学卒業後よりイタリアのセリエAでプレーを続けるプロバレーボールプレーヤー、石川祐希さん。
東京五輪・パリ五輪の2大会連続でキャプテンとして男子日本代表チームを率いてきました。
その強さの秘密とは? キャプテンとしてのあり方や、競技者としての意識と心構え、そして健康管理やスキンケアなどのルーティンについてもお話を聞きました。
「チームはキャプテンのようなチームになる」
丁寧に生き、自らを律する理由
──バレーボール歴も約20年ですね。石川さんが考える「バレーボールの魅力」とは?
石川祐希さん(以下、石川):小学4年生のときにバレーボールを始めるまでは野球をやっていましたし、もともと友だちと一緒にできるスポーツが好きだったんだと思います。
バレーボールは、サーブするときを除いては、ボールが手にふれるのはほんの一瞬です。チームの誰がどんな覚悟でどう動こうとしているかを瞬時に判断してボールを操作するわけですが、そこには相手との信頼関係が不可欠。信頼できる仲間とプレーできることがバレーボールの魅力の1つですね。仲間のことをより理解したいから、コミュニケーションも大切にしています。
どのスポーツでも言えることですが、ゲーム中、とくに苦しい状況であればあるほど選手の性格や生き方がプレーに出てしまいます。雑に生きるとプレーも雑になると思っているので、丁寧なプレーをするために毎日を丁寧に生きるというのは日ごろから心がけていることですね。
──これまでに「バレーボールをやめてしまいたい」と思ったことはありますか?
石川:それはないですね。もちろんケガに苦しんだことは一度や二度ではありませんが、ケガをしたことで大好きなバレーボールをできないことが一番つらいです。
2021年から男子日本代表チームのキャプテンをさせていただいていて、よく「プレッシャーはありますか?」と聞かれるのですが、プレッシャーは感じないほうです。
僕の持論ですが、「チームは、キャプテンのようなチームになる」と思っているんです。キャプテンの態度や言動は、チームのあり方に直結するということです。
たとえば、僕が最後までボールを追わなければ、そういうチームになります。僕が挨拶をしなければ、そういうチームになるでしょう。その逆も然りです。ですので、人に見せるためにやっているわけではありませんが、バレーボール以外の生活態度にもけっこう気をつけています。
──生活態度まで。キャプテンの鑑ですね。
石川:いえいえ(笑)。練習のない日は家でだら〜っとすることもありますよ。
基本的には、家に帰るとオフモードですね。家ではストレッチは毎日しますが、トレーニングはしません。
納得のできない内容で試合に負けた日は、帰宅して椅子に座ったまま、しばらく動けないということもあります。でも切り替えは上手なほうだと思います。次々と試合はありますからね、切り替えないと。寝たら忘れます。
睡眠も食事もスキンケアも。
バレーボールを第一にしたルーティンを楽しむ
──健康管理はどのようにしていますか?
石川:睡眠と食事には気をつけています。スマホは寝室には持ち込まないようにしているので、ここ何年もスマホを見ながら寝落ちするなんてこともありません(笑)。5分だけと思っていても、ついダラダラと見てしまいますし、睡眠の質が落ちるのでやめました。
睡眠は8時間とれれば理想的ですが、試合などで帰りが遅くなる日もあるので、昼寝をしたり数日で帳尻を合わせたり。朝はアラームが鳴ったら1〜2分ですぐに起き上がります。
食事は基本的には自炊で、この10年ほどほぼ変わりません。野菜はスープにすることが多く、メインはその日によって食材は変わります。昼に魚を食べたから、夜は肉を……というようにバランスには気をつけています。
朝はごはんをつくって食べて、シャワーを浴びて、スキンケアをして、ウェイトトレーニングをしたり練習に行ったり。ルーティン化していますが、そのほうが何をするにも迷わず、バレーボールに打ち込めるのでラクなんですよね。
──スキンケアもルーティンの1つだそうですね。以前からポーラ製品を使ってくださっています。
石川:姉と妹に影響を受けて、高校生のときからスキンケアは始めていたのですが、イタリアに渡ってから日本代表のチームメイトがポーラの「B.A」を教えてくれたんです。
それからずっと気に入って使っていたので、ポーラさんからアンバサダーにとお声がけをいただいたときはとてもうれしかったですね。今は10アイテムぐらいを肌のコンディションに合わせて使い分けています。
朝起きて、体の調子を確かめるように、鏡を見て肌の調子をチェックしています。スキンケアで肌が変化するのもうれしいですし、「肌がきれいだね」とほめてもらえるのもうれしいです。
スキンケアは僕にとってリラックスの時間。バレーボール以外での、日常の楽しみを見つけられていることが、心の余裕につながっていると感じています。
石川祐希さんの食事やスキンケアを紹介した記事はこちら
人生は自分でしか決められない
選択を自分で正解に導いていく
──石川さんの幸せの価値観についてお聞きします。どんなときに幸せを感じますか?
石川:一番は、やはり大好きなバレーボールをできていることですね。試合に勝ったとき、ケガの痛みがなく練習を終えたとき、チームメイトの笑顔を見たときなど、意外と身近なことに幸せを感じます。
自分の生き方は自分でしか決められません。どんな選択をしたとしても、後悔はしたくない。その選択を自分で正解に導いていくことしかできないと僕は思っています。
もちろん前を向けないときもあります。それでも、小さなことにも意識して喜びや楽しさを見つけていくこと。それを継続していくと本当に楽しくなったりうれしくなったりするかもしれません。
先ほど、「チームは僕のようなチームになるから、練習態度も生活態度も気をつけている」とお話ししましたが、僕も意識してなりたい自分に近づこうとしているのだと思います。それと同じですね。
──ご自身が考える「石川祐希の強さ」とは?
石川:競技者としては、バレーボールが好きなこと。それは僕の強さだと思います。
僕個人としては、バレー以外ではあまり感情的にならないところですね。ちゃんとしていたいし、ちゃんとしようとしている自分も好きだし、そういう自分でありたい。強さと言えるのかはわかりませんが、自分を律することは苦手ではありません。
──最後にお聞きします。ポーラでは「We Care More.」をスローガンの1つにしています。「誰かのための小さなケアの積み重ねが、やがて世界を変える心づかいになる」といった意味を込めていますが、石川さんが実践している「誰かの幸せのためのケア」はありますか?
石川:笑うことって大事だなと、以前より思うようになりました。そこに笑顔があるだけで場の雰囲気も明るくなりますよね。試合中もそうですが、仲間が苦しい顔をしているときに笑顔で接すれば、仲間の気持ちが軽くなり、チームの雰囲気も良くなります。そうすれば観客の皆さんにも楽しんでもらえます。
もちろん勝ち負けの世界なので常に笑ってはいられませんが、自分が笑顔になることで周りも笑顔にできる。チームもいい方向にまわっていく。そんなプラスの連鎖のはじまりでありたいなとは感じているところです。
企画/制作:MASHING UP
石川祐希(いしかわ・ゆうき)さん
プロバレーボールプレーヤー
1995年生まれ、愛知県出身。小学4年生のときからバレーボールを始め、高校時代は史上初の2年連続・高校3冠を達成する原動力として活躍。大学卒業後は世界最高峰のイタリア セリエAでプレーを続け、現在はシル・サフェーティ・ペルージャに所属。日本代表には大学在学中に選出。東京五輪に続いてパリ五輪でもキャプテンを務め、チームを牽引するとともに日本中に感動を与えた。2024年8月に「ポーラ・インスパイアリング・クルー」に就任。




