「From Loss To Beauty」
失われるものを美しさに変えていく。

ブランドクリエイティブ部
重住久美子

「From Loss To Beauty」のプロジェクトリーダーとして「ハンドコンフィチュール」を企画開発。関わった人すべての喜びの声から、化粧品の新たなパワーや可能性を感じている。

ものづくりで、「We Care More」を実現すること。

私たちは、2029年の創業100周年に向け「We Care More」というスローガンを掲げています。ポーラは創業者が妻の手荒れを治すために作ったクリームから始まった会社。そして、手から手へ最良のものをお届けしたいという想いで、お客さまをケアしてきた会社です。そのケアと心くばりを、これからは肌だけでなく、人、社会、環境、地球へ…。そんな想いで、これまでもさまざまな活動をしてきました。

そんななか、商品を企画する私が考えたのが、ものづくりから「We Care more 」＝人や地域や環境をケアできないか？ということでした。日本の全国各地には、まだ誰も知らない宝物がたくさん眠っています。目を向けられないもの、捨てられているものを、ポーラのサイエンスで美の価値に変換したい。そんな想いで「From Loss To Beauty」というプロジェクトを立ち上げ、情報収集しているなかで出会ったのが、島根県オリジナルの「神紅（しんく）」というブランドぶどうでした。

出雲大社という全国区の観光資源を持つ反面、高齢化や人口減少が話題になりがちな島根県。その島根県が地方創生の願いも込め、10年かけて開発したのが「神紅」です。この特別なぶどうを全国の方に知っていただきたいという県の想いはもちろんですが、何よりも私たちが突き動かされたのは、実際に見て、触れて、食べた時の鮮烈な印象。「この芳醇な香り、弾力のあるみずみずしい肌のような果肉を、化粧品で表現したい！」と、企画者の本能的なひらめきを感じたのです。素材に魅了され、このすばらしい素材を最大限に活かしたものづくりが、2020年にスタートしました。

産官学が想いをひとつにして生まれたハンド美容液。

開発は島根県にご協力いただき、素材を提供してもらうことから始まりました。生産過程で摘み取られてしまう茎葉「副梢（ふくしょう）」や「剪定枝（せんていし）」などの未利用資源をポーラでエキス化。島根大学に分析を依頼しました。この時点ではどの資源からどんな肌への効果が期待できるかまったくわからない状態でした。分析の結果「副梢」に着目できたときは本当にホッとしました。

神紅生産者と

副梢

そして、「副梢」から抽出した「シンクエキス」をどんな化粧品にするか。やっぱりポーラの創業の原点であるハンドクリームにしたい！と気持ちはすぐに決まりました。ただし、一般的なハンドクリームに「シンクエキス」を配合するだけでは、せっかく見つけた宝物が活かしきれません。コンフィチュールをイメージさせるみずみずしいテクスチャー、透明感のある淡いぶどう色のカラー、果肉を想わせる小さな粒、「神紅」特有のアールグレイティーのような香りとポーラ独自の処方の搭載にこだわりました。ポーライノベーションセンターはさまざまな処方技術を持っていますが、今回の私たち企画側の希望は、研究チームにとっても従来の化粧品開発ではあまり経験のないことだったよう。でも、その重要性をチーム全員で理解して、トライ＆エラーを繰り返しました。

こうして2023年１月、「ハンドコンフィチュール」は誕生しました。発売前に生産者さんへのお披露目があったのですが、農業一筋の高齢の男性たちが、ハンドクリームをお互いに手に塗ったり香りを嗅いだり、目をキラキラさせて喜んでいただけた、と県庁の方が教えてくださいました。想像するだけで今でも胸がグッと熱くなります。関わる人すべてが幸せを感じる…そんな商品企画ができたと思えた瞬間でした。

さらなる価値変換を目指して、ブランド化＆定番発売へ。

当初「ハンドコンフィチュール」は数量限定での発売でしたが、初回発売^※後1週間でほぼ完売。その後の再販でも「すぐ売り切れてしまうのでなかなか手に入らない」「1年中使いたい」というお声をいただくヒット商品になりました。お客さまからは「みずみずしくてベタつかない」「いやされるような香り」とご好評をいただき、ここからポーラの活動や「神紅」について興味を持ってくださる方も増えています。
From Loss To Beauty の活動へ共感してくださる生産者の方々も増え、より多くのエキスを作る体制が整ったことでハンドコンフィチュールを定番商品として発売し、 From Loss To Beauty のブランド化が実現しました。また、持ち運びに便利なチューブタイプも限定発売いたします。プレゼントにもおすすめですので、ぜひ皆さまの手で体感し、思いをシェアしていただけたらと思います。

※初回発売：2023年1月1日