次世代のラグジュアリーを創造する
プロダクトデザインの挑戦。

ブランドデザイン部 渡辺 有史

ブランドデザイン部 梶谷 文雄


ポーラ最高峰美容液「B.A グランラグゼ IV」。容器と包装、それぞれのデザインを担った2人が、そこに込めた意味を語ります。

あえて今、アナログな創作の先に生まれた「まどろみの時間」のデザイン。
ブランドデザイン部 渡辺 有史

B.A グランラグゼでは、これまでも常に、ポーラ最高峰美容液にふさわしいプロダクトデザインを追求してきました。その内容物がポーラ最新のサイエンスや理論で進化する存在なら、デザインも化粧品という概念を超えていかなければ。そんな想いで、今回まず「ラグジュアリー」の意味を考え直すことから始めました。「豪華」「飾る」という価値観はこれからも続くのか?従来のアプローチで、劇的な感動はもたらせるのか?と。結果、私たちが行き着いたのが、「包むこととは何か」という本質をシンプルに追求しつつ、アート性やサイエンス性を両立していくこと。「次世代のラグジュアリー」にふさわしく、またこれを形にすることがこれからの業界をリードするデザインにつながると考え、デザイン開発してきました。

今回の美容液は、「静と動」そして「静と動の間にある『まどろみの時間』」がテーマです。まずはじめに、「まどろみとは何か」「まどろみを感じるとはどんな状態なのか」などをチームで徹底的に突き詰めました。そこから「無意識の覚醒」というデザインコンセプトが生まれます。
意識と無意識の間にある心地よい状態。それは、計算し尽くされたデジタルベースのデザインではなく、人の手で作ったからこそ生まれる自然な凹凸感やゆらぐ曲線から感じられるもの。そのため、視覚だけでなく、特に触覚でそれを感じていただけるものにしたいという方向性が出てきました。 今回はアイデア発想から形状完成までを「手作業のみ、粘土でかたちを作る」ことにこだわっていて、これは過去にも例のない作り方です。夜、一人でひたすら粘土を捏ね、盛っては削り、壊しては創りの繰り返し。造形に没頭した時間は、まさに「無意識の覚醒」状態。ここから生まれる形こそが「まどろみの時間」を表現するデザインにつながると考え、季節が変わり粘土の感触に違いが出るほどの長い間、創作に取り組みました。そんな非常にアナログな行為こそが、実は彫刻や陶芸作品のように触れた瞬間に人の感性に強く響くものになると思っています。
最終的に決まったデザインは、見方によっては不均一で未完成なもの、と感じられるかもしれません。でもその感覚も、この先どうなるの?という想像力や、「未完の美」という日本の美意識に通じるものがあると考えています。B.A グランラグゼ IVを手にする際は、「見る」だけでなく、ぜひ「触れる」も意識していただけると嬉しいです。

グランラグゼIVの容器デザインの元となった実際に捏ねられた粘土

包む文化を、大胆に化粧品のパッケージに持ち込むこと。
ブランドデザイン部 梶谷 文雄

私がメインで担当したのは、容器を実際に紙で包み込むどこにもないパッケージです。これまでなら「外箱」をデザインしていたと思いますが、今回はボトルと同様、新しいラグジュアリーのあり方を模索し、この包装自体の在り方もゼロから見直しています。
ベースにしたのは、ご祝儀袋や風呂敷など日本の伝統美でもある「包む文化」。箱ではなく、1枚の計算されつくされた紙を使い、工場のスタッフが手作業で一つひとつ丁寧に包むという、新発想の方法を実現しています。包んだ状態、開いた状態はもちろん、開いていく過程で変化していく折り目の様子など、そのすべての表情が美しい、見て触れるだけでワクワクするような気持ちを届けるパッケージを目指しました。
そしてこのデザインは、サイエンスやサステナブルも体現しています。紙は、それだけだと薄く頼りないものですが、折り方の工夫などで強度を増すことができる素材。今回は、宇宙での太陽光パネルの開閉に採用されている「ミウラ折り」をヒントにすることで、ショップへの配送の際に必要な緩衝材の削減にもつなげることができたのです。最初は自分たちで折り方を考えて見本をつくり、包材メーカーさんに協力を仰ぐのですが、「?」という顔をされることも多かったですね(笑)。やりたいことを理解してもらうことすら大変でした。これが単なるデザイナーのエゴではなく、お客さまに新しい価値をお届けできることを繰り返しお話しし、理解してもらい、やっとここまで辿りつきました。
ちなみに、美しく折り、包むためにデザイン上ちょっとした工夫がしてあります。知らないと気がつかないレベルかもしれませんが、私のお気に入りのポイント!もし手に取られた時は、包みの内側の色味にも、ぜひ目を凝らしていただけたらと思います。
※答えを知りたい方は、模型イラストの説明をご覧ください。
新しい物、新しい価値を創りあげたこと。これは、入社3年目の私にとって、衝撃的とも言える経験となりました。今、自分自身もぐっと成長し、新しくなれたように感じています。

包装紙の内側にごく薄いグレーの地色をひくことで、デザインに影響する折り線(点線)などを入れることなく、立体のイメージ、折る場所のイメージがつきやすい工夫をしています。折った際に影になるため、実物ではほとんどわからないほどの色合いです。

B.A グランラグゼ IVについて詳しくはこちら

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