イベントレポート | SPEAKER ドミニク・チェンさん 横石崇さん

開催されたPOLA TALKER’S MUSEUMの内容をご覧いただけます。

POLA TALKER’S TABLE

POLA TALKER’S MUSEUM REPORT

12.9(sat)
わたしにとってのウェルビーイングを設計する ~これからのうつくしさとは?~

SPEAKER ドミニク・チェンさん 横石 崇さん

今回のスピーカーは、人間社会と情報テクノロジーに一石を投じた『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』(BNN新社)監訳のドミニク・チェンさん、企業の組織開発や人材育成に携わるコミュニケーションプロデューサー横石崇さんです。ポーラ宣伝担当の田畑圭子を含めた3名で、「わたしにとってのウェルビーイングを設計する 〜これからのうつくしさとは?〜」というテーマで討論いただきました。
まず、ウェルビーイングという言葉は皆さんご存知ですか?個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味します。よく「幸福度」という言葉を耳にしますが、それに近い考え方になります。

トークセッションが始まると同時に、ドミニクさんが取り出したのは「心臓ピクニック」。名前も見た目も不思議な機械です。ところがこの機械、実は国家研究に使用されるほど凄いんです。まず聴診器を心臓にあてます。すると・・・心臓の動きに連動して振動します!
実は「心臓ピクニック」は、自分の心臓を手で触れるというコンセプト。隣に手を伸ばせば、他人の心臓にも触れるという斬新な体験。親子で心臓の動きを確かめあう人、友人同士で確かめあう人、また初めてこの空間で出会って試す人。関係性は様々ですが、笑い声や驚きの声があちらこちらで聞こえてきました。田畑も「ただの箱が、柔らかさや温かさを感じる感覚に変わった」と驚きを隠せなかったようです。
この体験こそがウェルビーイングである、とドミニクさんは語ります。客観的に自分とつながっていると感じることでポジティブな気持ちになり、隣の人とは言葉を尽くしても感じられないものを感じることができ、そしてそこにつながりが生まれる。

そして議題は「これからのうつくしさは?」という内容に。田畑は女性が美しくあるためには容姿だけでなく「心」も影響すると考えます。ただ一方で、内面の多様性を受け入れようと気持ちだけが先走り、曖昧な状態の多様性のうちどれに自信を持てばいいかわからなくなってしまうという迷子状態に。「うつくしくあるために、なにを幸せと考えればいいのか」、田畑はその疑問をドミニクさんに投げかけました。ドミニクさんは、ウェルビーイングを設計することで、この疑問が解決できるのではと考えました。そこで今回はその体験にと、ウェルビーイング設計ワークに取り組むことに。「自分のウェルビーイングとはなにか」というテーマを探るべく、A4のシートが配布されました。まず「ウェルビーイングの要素」を3つ書き出し、次にその要素をもとにして「自分にとってのウェルビーイング」を探し出すという内容のワークです。普段このように改めて自分を見つめなおす体験はなかなかなく、参加者は思い思いに、楽しげにワークに当たっていました。実際に会場でその考えをシェアした際には、「食事をすること」「大切な人と過ごすこと」「健康であること」「挑戦すること」「笑うこと」など様々な答えが続々と出てきました。

このワークで分かったことは、幸せとは相対的であり、かつ多様性をもつということ、そして個性があるということ。それを互いに身体的に感じることが大切だとドミニクさんは語ります。多様化される社会で、女性も男性も問わずに生きいきと輝くためにも、このような取り組みが増えることが、ドミニクさんの願いだそうです。
「心臓ピクニック」や「自分にとってのウェルビーイング」を探るというワークを通じ、頭だけでなく身体でもお互いを理解するなど、新たな気づきを発見することができました。

ドミニク・チェンさん

SPEAKER
ドミニク・チェンさん(起業家・情報学研究者)

博士(学際情報学)、早稲田大学文学学術院・准教授。NPOコモンスフィア(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)理事、ディヴィデュアル共同創業者。IPA未踏IT人材育成プログラム・スーパークリエイター認定。NHK NEWSWEB第四期ネットナビゲーター(2016年度)。2016年度、2017年度グッドデザイン賞・審査員兼フォーカスイシューディレクター。監訳本に「ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術」(ビー・エヌ・エヌ新社)がある。

横石 崇さん

SPEAKER
横石 崇さん(コミュニケーションプロデューサー)

「TOKYO WORK DESIGN WEEK」オーガナイザー。&Co.Ltd代表取締役。ブランド開発や事業コンサルティング、クリエイティブプロデュースをはじめ、人材教育ワークショップやイベントなど、企業の内と外において”場の編集”を手法に様々なプロジェクトを手掛ける。「六本未来大学」アフタークラス講師、「WIRED」日本版公認コントリビューターを務め、著書に「これからの僕らの働き方 〜次世代のスタンダードを創る10人に聞く〜」(早川書房)がある。

戻る

POLA コーポレートサイト TOPへ