インテリアスタイリスト・石井佳苗さんに聞く、居心地のいい“照明選び”のポイント|プロに聞く、居心地のいい、部屋のつくり方

Style
13 MAY 2024

ほっとひと息つく場所、それがわが家。部屋をよりくつろげる空間にするための“あかりの見直しポイント”を、インテリアスタイリストの石井佳苗さんに教えてもらいました。

照明と猫


「部屋のあかり」について、石井佳苗さんに伺いました

「家具のなかでも照明が一番好き。使い方次第でいろいろな表情をみせてくれるのが魅力です」そう話す石井佳苗さん。

自宅リビングには部屋全体を照らす大きな天井灯はありません。その代わり、大きさも形も異なる照明があちこちに置かれ、目を楽しませてくれます。

「日本の家は“一室一灯”で、暗くなると部屋全体を一気に明るくしてしまいがち。これだと部屋が昼間のような明るさになってしまい、脳が休まりません。複数のあかりを少しずつ点灯してやさしい光をつくってあげると、心身がリラックスすると思いますよ」

照明が生み出す光も、照明そのもののデザインも、部屋の雰囲気を左右する大切な要素なのです。

「複数の照明を組み合わせることで、陰影を自分でつくれるのも楽しい。奥深い照明の世界を、積極的に楽しんでみてください」


Q あかりの見直しポイントは?

A1 昼と夜、両方の目的をかなえる照明を選ぶ

照明と猫
北欧で生まれた美しい貝のペンダントライト

「昼間は見て楽しむものとして、夜は必要な場所を照らすもの、または陰影を楽しむものとして。あかりを選ぶときは、両方の視点をもつことが大切です」

ヴァーナー・パントンの「シェルランプ」
ダイニングの照明は、ヴァーナー・パントンの「シェルランプ」のヴィンテージ

好きなデザインを選ぶと同時に、点灯したときにどんな光になるか、実際に試したり想像したりして選ぶと、1日を通して照明というインテリアアイテムを楽しめます。


A2 太陽の動きに合わせて、点灯は順番に

リビングルーム
いくつものあかりで、心地よい陰影をつける。あかりの配置に高低差をつけることで、点灯時、空間全体に奥行きが生まれる

室内のあちこちに配置された照明。日が少しずつ暮れ始めるのに合わせ、石井さんは先に暗くなる西側のあかりから順番に、1灯ずつ点灯していきます。

「部屋全体を一気に明るく照らすのではなく、太陽の光との調和を考えながら、夕方らしい光をつくるようにしています。夜に寝る前も、ひとつずつ順番に消灯。そのほうが、心身がリラックスしてよく眠れる気がします」


A3 心休めるソファ脇は、柔らかな光で

ソファーとフロアランプ
ポストモダンの建築家、マイケル・グレイヴスによるデザインのフロアランプ

夕方や夜にくつろぐソファの脇にはフロアランプを置くのがおすすめ。存在感があるので、部屋の雰囲気もアップします。

「布や自然素材などのシェードのものを選んで。ふんわりと柔らかな光になるので、よりリラックスできます」


A4 デスク作業には手元を照らす局部照明を使う

デスクとデスクライト
デスクの上に置かれたデスクライトはヨーロッパのヴィンテージもの

パソコンを使ったり書きものをしたりといった作業の際におすすめなのは、全体をふわっと照らすのではなく、手元をしっかり照らしてくれる局部照明。

「よく見えるのはもちろん、きちんと照らすことで気持ちも作業モードに」


ワンポイントメモ
シェードで変わる適材適所の光

ひと口にあかりといっても、シェードの形状や素材によって、配光、つまり光の広がり方や見え方がまったく変わってきます。場所や目的に合わせてシェードの種類を選ぶことで、より居心地のよい部屋をつくることができます。

アートとスポットライト
金属などの透過性がないタイプは狭い範囲を照らし、手元や壁のアートなどにスポット
ペンダントライト
上部が開いているペンダントライトを選べば、下方向と同時に天井も照らし、より柔らかな雰囲気に
間接照明
布や自然素材のシェードは、光を透過させる。周りをふわっと明るくし、やさしい雰囲気を生み出す


撮影:有賀 傑
取材・文:嶌 陽子

石井佳苗(いしい・かなえ)

インテリアスタイリストとして、多方面で活躍中。インテリアと暮らしについて学ぶオンライン講座『Heima Home Design Lesson』を開講中。著書に『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』(扶桑社)など。

この記事は、扶桑社『天然生活』(初出日:2023年10月17日)より、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、pola_web@pola.co.jpにお願いいたします。

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