自律神経が整う「ストレスのない朝」の過ごし方。免疫力を高める朝習慣/小林メディカルクリニック東京・小林暁子院長

Style
27 MAY 2025

新型コロナウイルス感染症の再流行もあり、これまで以上に「免疫力を高める」重要性が注目されています。「朝をどう過ごすかが免疫力を上げる大きなポイント」と語る、小林メディカルクリニック東京の小林暁子院長に、免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方を聞きました。

深呼吸するイラスト

「朝」の小さな習慣で免疫力は上がる

「体の中にはたくさんの免疫細胞があって、その約7割が腸内の腸壁付近にいます。腸内環境を整えることは、そのまま免疫力をアップすることになるのです」という小林院長。

免疫力の向上にもうひとつ大切になってくるのが、自律神経です。

自律神経は、脳からのさまざまな司令を体のすみずみに伝達し、各臓器の働きをつなぐ存在。自律神経のバランスが崩れると、当然、腸の働きが悪くなり、免疫力が低下してしまいます。

朝は、腸を動かして便を排出し、腸内環境をリセットする時間。副交感神経から交感神経へ自律神経が切り替わるのも朝です。

「そのため、朝をどう過ごすかが免疫力を上げる大きなポイントとなります。今回は忙しい朝でも簡単にできる腸活や、自律神経を整える方法をご紹介しますので、自分が気軽にできそうなことから取り入れてみてください」

免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方 01
花の水替えをする

花の水替えをするイラスト

朝の自律神経を整えることは、免疫力アップにとても大切です。五感で自然を感じると、交感神経の高まりが抑えられ、自律神経のバランスがよくなります。

「朝、花びんの水を取り替えるだけでも、気持ちがリフレッシュして癒やされます。花の手入れをして、花の美しさや色合い、香りを楽しみましょう。嗅覚は、五感のなかでも最も敏感なので、ダイレクトに心を落ち着かせてくれます。お気に入りのアロマで、朝時間を過ごすのもいいですね」

さわやかな朝を演出する花やアロマは、「香りを楽しむ時間」にもぴったり。

空を見上げる、風を感じる、散歩して緑を眺めるなど、身近な自然を感じるのもおすすめです。

免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方 02
家事がひと段落したら、深呼吸

深呼吸するイラスト

時間に追われがちな朝は、交感神経が無意識に高まり、呼吸が浅くなっています。1日の始まりこそ、副交感神経を働かせて、ストレスのない朝を迎える習慣をつけましょう。

「朝の家事がひと段落したら、ひとまず深呼吸。イライラした気分がスッと落ち着いて自律神経が穏やかに。腸の動きも安定します」

深呼吸をするときは、吸う息の2倍の長さでゆっくりと息を吐くのがポイントです。

「ワンツー深呼吸」のやり方

1 おなかの動きに意識を向けやすいよう、おへその周りに三角形をつくるようにして、両手をおなかに当てる。

2 4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけて口からゆっくりと息を吐く。おなかを絞るような感覚で、おなかの空気を全部出しきる。

免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方 03
朝のトイレタイム前にストレッチ

ストレッチを行うイラスト

毎日お通じがなくても心配することはありませんが、それでも朝、トイレに10分座って排便のペースをつくる習慣は大切。

トイレの前に、腸の働きを活発にするストレッチをして、排便しやすい体をつくりましょう。

「上半身をしっかり伸ばすと、副交感神経が働き、腸のぜん動運動を刺激します。体が伸びる気持ちよさを全身で感じましょう」

「上半身伸ばし」のやり方

1 立った姿勢で、両足を肩幅に開き、両うでをまっすぐ前に伸ばす。そのまま左手で右手をつかむ。

2 左手で右手をゆっくり横に引っ張り、上体をしっかり伸ばす。

3 ゆっくりと1の姿勢に戻る。

4 左右の手を替えて、2、3と同様に左手を引っ張り、1の姿勢に戻る。左右交互に何度か繰り返す。

免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方 04
“考える人”のポーズでトイレに座る

“考える人”のポーズでトイレに座るイラスト

「トイレでは無理に便を出そうとがんばる必要はありません。便意がないのにいきみすぎると交感神経が高まり、かえってストレスに。自律神経のバランスを崩してしまいます」

寝ている間に、便は出口付近まで下りてきています。

便意はあるのになかなかでない、というときは、トイレで「あとひと押し」をしてくれる“考える人”ポーズを。

確実に腸を刺激して、お通じも快適になります。

“考える人”のポーズのとり方

1 便座に座り、右ひじを反対の左ひざにつくまで前傾姿勢になる。

2 つま先を床につけ、かかとを上げる。足が届かなかったり、バランスが取りづらかったりする場合は、踏み台などを使って。同様に逆も行う。

免疫力を高めるストレスのない朝の過ごし方 05
出かける前に鏡で、“にっこり”

鏡で“にっこり”するイラスト

セロトニンという幸せホルモンを分泌する「笑い」。メンタルへの影響はもちろん、健康にも大きな効果があります。

セロトニンは免疫力を高める、ストレスを解消して自律神経を安定させる、血圧や血糖値を下げるなどの効果が実証されています。

朝、顔を洗うとき、お出かけ前の全身チェックのときなど、鏡の前に立つたびに、口角を上げて“にっこり”笑顔をつくるようにしましょう。

「“つくり笑顔”でもセロトニンが分泌されることがわかっています。とくにうれしいことがなくても、とにかく口角を上げて“にっこり”するのを習慣にすることがポイントです。周囲にも、“朝から笑顔で、素敵な人だな”という印象を与えられますよ」

取材・文:工藤千秋
イラスト:花松あゆみ

小林暁子(こばやし・あきこ)
医学博士。順天堂大学医学部卒業。同総合診療科での経験を経て、便秘外来・内科・皮膚科・女性外来など全身の不調に対応する「小林メディカルクリニック東京」を開業。院長としてトップアスリートやエグゼクティブの患者も数多く担当し、テレビ出演、講演なども多数。著書に『免疫力を上げる健美腸ルール』(講談社)などがある。

※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

この記事は、扶桑社『天然生活』(初出日:2024年8月6日)より、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、pola_web@pola.co.jpにお願いいたします。

JOURNAL トップ

  • トップ
  • コラム
  • JOURNAL
  • 自律神経が整う「ストレスのない朝」の過ごし方。免疫力を高める朝習慣/小林メディカルクリニック東京・小林暁子院長