医薬部外品の新規美白※1有効成分として、10年ぶりにポーラが承認を得た「PCE-DP ※2」とは?(※2018年12月時点)

日々進歩し続ける美容アイテム。中でも美白ケアは技術開発や研究が熱心に行われている分野で、多くの美白商品が存在します。

そんな美白市場で、2018年にポーラが承認を取得し話題となったのが、美白有効成分「PCE-DP(ピース ディーピー)」です。一体どんな効果が期待できるのか、今回は「PCE-DP」についてご紹介します。

美白有効成分「PCE-DP」とは?

PCE-DPとは、「メラニンの蓄積を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」効能・効果を有する美白有効成分のことです。

その美白メカニズムは、「メラニンの生成や受け渡しの抑制」といった従来の美白の考え方とは異なります。表皮細胞のエネルギーを効率的に産生し、高めることで表皮細胞が抱えるメラニン量を減少させる——「メラニンが蓄積しにくい肌を目指す」という新しいアプローチなのです。


PCE-DP研究の発端は「視点の変化」

研究のきっかけは、美白研究チームにシワ研究チームが加わったこと。「いかにメラニンをつくらせないか」を狭く深く追求していた美白チームに、肌をもっと広く、俯瞰で捉えていたシワ研究チームが加わったことで、美白に対する視点が変わったことが始まりでした。

そもそもシミの原因となるメラニンは、紫外線から肌の表皮細胞の核を守るためのバリアとして生成される物質。ならば、「自ら核を守れるような強い表皮細胞を育てれば、メラニンに守ってもらう必要がなくなり、シミができにくくなるのでは?」という斬新な視点をもとにスタートし、新たな手法で研究を進めました。

その手法とは、実際の皮膚と同じように複数の細胞を組み合わせた皮膚モデルを作製し、紫外線で黒くなった肌への効果を検証するというもの。この皮膚モデルを使用して約7400種類の候補となる素材のスクリーニングを行い、見出した成分がPCE-DPです。


PCE-DP、美白のメカニズム

では、PCE-DPはどのように、シミ・ソバカスを防ぐのでしょうか?そのメカニズムについて詳しくご説明します。

元来メラニンには、細胞内にある核を守るための日傘のような役割があります。しかし、エネルギーが不足していると表皮細胞はメラニンをため込み、シミの原因となってしまうのです。

メラニンを増やすこと以外で核を守るにはどうすればいいのでしょうか。そこでポーラは、表皮細胞自体へのアプローチが必要ではないかと考えました。

鍵となるのは、表皮細胞のエネルギーを高める※3こと。
元来、私たち人間には生きていくためにエネルギーが必要です。そのエネルギーを生み出すための経路には「解糖系」と「クエン酸回路」が存在しています。解糖系は素早く少量のエネルギーを生み出すのに対し、クエン酸回路は一度に大量のエネルギーを生み出すことができるという特徴があります。

この2つの経路は、肌や身体で必要に応じて使い分けられています。例えば、瞬発力の必要な筋肉では解糖系が使われ、常にエネルギーを必要とする脳神経ではクエン酸回路が使われて、エネルギーを生み出しています。

肌の表皮細胞にもこの2つの経路が備わっていますが、主に使われているのは解糖系。クエン酸回路は普段あまり使われません。言い換えると、表皮細胞でほとんど活用できていないクエン酸回路を使うことができれば、「表皮細胞の中のエネルギーを高めることができる」ということ。クエン酸回路の活性化、すなわち表皮細胞のエネルギーを高めることがメラニンの蓄積を抑え、シミ・ソバカスを防ぐことにつながると考えられるのです。


「エネルギー美白※4」という新発想

そこで登場するのがPCE-DP。PCE-DPはクエン酸回路に働きかけ、表皮細胞のエネルギーを高めてターンオーバーを促進することにより、メラニンの蓄積を抑えることがポーラの研究によって判明。これをポーラでは「エネルギー美白」と名付け、新発想の美白が誕生しました。

表皮細胞にエネルギーが充満していると、本来の紫外線から核を守る働きも強化され、メラニンに依存しない表皮細胞になると考えられます。その結果メラニン生成指令が減り、受け取るメラニンの量も減り、セルフクリア機能(メラニンの分解・消化)も促進され、透明感を高めることができます。


表皮細胞の生まれ変わりを促すアプローチで美白をサポート

クエン酸回路の活性化はメラニン量の減少だけにとどまりません。表皮細胞の増殖も活発になり、表皮の生まれ変わりが促されて、メラニンを抱えた細胞が自然にはがれやすくなると考えられています。

シミがある部位では表皮の生まれ変わりが滞ることが知られていますが、PCE-DPによってクエン酸回路が活性化することで細胞の増殖を助けます。表皮細胞の生まれ変わりを促すというアプローチで美白をサポートするのです。


本来備わっているものの、表皮細胞ではほとんど活用できていないクエン酸回路を活性化させる美白有効成分「PCE-DP」。表皮細胞のエネルギー産生を高めて、メラニンに依存しない強い肌をつくるという新発想の美白で、つやめく透明美肌を目指します。ポーラは、今後も新たな発想で美白の可能性を広げ続けていきます。

  • 1 美白:メラニンの蓄積を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ
  • 2 PCE-DP:デクスパンテノールW
  • 3 表皮細胞のエネルギーを高める:表皮細胞のエネルギーを高めて、ターンオーバーを促進することによりメラニンの蓄積を抑える
  • 4 エネルギー美白:表皮細胞のエネルギーを高めて、ターンオーバーを促進することによりメラニンの蓄積を抑えることを、ポーラが名付けた。

<出典>
休眠しているエネルギー産生経路を起こし、メラニンが蓄積しにくい肌へ
『ホワイトショットLX』『ホワイトショットMX』誕生
ホワイトショット - サイエンス

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