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着物とヨガから学ぶ「心とカラダの整え方」

谷 加奈子さんは、お祖父様の代から続く呉服店の三代目女将。「お茶など習い事をすることもなく、皆さんと同じように普段は着物を着ないまま育ち、大学を出て就職しました」。当時は着物=ババくさいというイメージで、“和”に対する罪悪感すら感じていたとか。それが変わったのは、忙しさに違和感を感じて会社を辞めバックパッカーとしてヨーロッパをまわっていたときのこと。「あちらで日本について聞かれても日本人なのに何も話せなくて。それで原点回帰。毎日着物を着て、和に浸かる人がいてもいいじゃない? と。以来、和服に携わって何十年です」。とはいえ一般には着物は敷居が高いもの。会場の皆さんからも「着たいけれど自分で着られない」「持っていないし着る機会がない」などの意見が相次ぎました。「着るキッカケも着方も難しいですよね。でも着物だと知らない方からも通りすがりに“アラいいわね”なんて褒められ、見られることへの意識にも繋がります。まずは、自分で着ようと一歩踏み出すことが大切だと思います」。この後も皆さんからの質問に答える形で着物の魅力を教えてくださった谷さん。着物を着ると周囲まで配慮の行き届いた美しい所作ができること、心と身体の調和がとれることで周りとの調和もとれて心地よく過ごせるなどの興味深いお話が聞けました。
後半はいよいよ着物とヨガのお話。意外な組み合わせですが、着物を着るにはインナーマッスルが欠かせないそう。「着物はみぞおちをゆるませて腰紐を締めるから骨盤に意識がいき、軸がきちんとできます。そこで出会ったのが体軸ヨガ。実はヨガの先生に聞くと昔の日本人は皆体軸ができていたそう。洋服文化に変わってバランスがとれなくなってしまったんですね。今日は着物を使ったヨガで皆さんに体軸を意識していただきたい」。軸をつくるには力みすぎても逆効果だそう。ヨガ用BGMには副交感神経を刺激して身体を適度にゆるめてくれるハイレゾ音響を使用し、まずは全身にある14カ所のクロスポイントをゆるめてインナーマッスルを意識するトレーニング。続いて着物の肌着にあたる“湯文字”を腰に巻き付け、体軸の要である仙骨を立たせるレッスンを行いました。「動きを意識すること、インナーマッスルを鍛えること、勉強になりました」「着物とヨガ、つながりました。今後は洋服のときも意識してみたい」など、皆さんあらためてインナーマッスルの大切さを実感された様子です。「体軸がとれていると、心の軸もとれるようになります。また着物を着る方はお年を召しても背筋をピンと伸びて美しい方が多い。年を重ねてもそんなふうに歩けるよう、明日から着物ヨガをぜひとりいれてみてください(谷さん)」