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これからのモノの見方を考える

初の夜の開催で、美しいライティングで彩られた空間。登場してくださったのは、テクノロジーや文化など幅広いジャンルから新たなライフスタイルを提案する『WIRED』日本版編集長の若林恵さんです。溢れる情報の中、どうしたら自分らしいモノの見方がみつかるのか、トークは参加者の質問に若林さんが答える形で進行します。まずは圧倒的情報量に対し、どのように取捨選択をすればいいか。「ぼく自身は、ほとんど外部の情報はとらないんです。雑誌は読まないしソーシャルはやらないし、新聞も見出しだけ見て推測する。というのは、たくさん情報をとっても、いい情報をとれていない気がするからです。日本は同調圧が強いので、情報を追うと何かを言わなきゃという感じにさせられる。本当は“いいねボタン”じゃなくて“俺は関係ないボタン”があったほうがいいかと。全部を網羅しようとしても無理だから、ある種の限定性が必要です。指標とするなら、そこにときめくか、ときめかないかは割と大事かな」。モノを考える時に一番大事にしていることは?という問いには、「編集者としていえば、対象とテーマは違うということ。例えば最先端の車について書くなら、それが車についてだけの記事で終わっては困る。車の最先端で起きていることから何を得られるか。それがテーマであり、そのテーマをどのように、誰に向けて作動させるか。対象となる情報はいくらでも書き換えられるけれど、そこから読みとれるもっと大きな流れみたいなものを、つかんだり考えたり、提言する。それがどの程度読者にとって需要があるかはまだ謎だけれど、そこはやっていくべきだと思っています」
若林さんの興味深いお話に、参加者の皆さんから次々に質問が飛び出します。「SNSの普及で自分が自分の意見を言うことがすごく大事になってきた。僕は○○が好きだ、とか。でもそれは飲み屋で言ってくれ(笑)という気持ちです。重要なのはそこにどんな価値があるか。批評をするのは実は非常に難しくて、世の中にはわからないことがあることを理解しないと自分の世界は広がっていかない。モノをたくさん知ることは、強くなることであり楽しいことでもあり、それがまた新しい学びにつながる。じゃあ、学ぶことになぜ価値があるかというと、人を助けることができたり…。助けたい人を助ける、応援したい人を応援する、情報をとるというのはそういうことかと思います」。溢れる情報に対し、自分はどう思うかを改めて考えながら、語り尽きない深い夜がふけていきました。