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教育は最大の予防薬

世界エイズ研究予防財団理事の林さん、と聞いてどんな難しい話しなんだろうと背筋がピン。「いつもは小学校高学年の子や中学生、高校生に向けて30分で講演しています。つまらなくなったら椅子の上で合図してください(笑)。まずはレッドリボン作りから始めましょう」 ー意外にもリボン作りからスタート。エイズを理解しようという活動からNYで生まれたこのリボンを全員で胸につけ、講演が始まりました。「今日勉強する病気の名前はエイズ。エイズになった人はエイズ患者。エイズの原因となるウイルスがHIV。ウイルスに感染しているけれど、まだ発症していなくて健常な人はHIV感染者。この4つの言葉をまず覚えましょう」新聞やニュースでよく耳にする言葉ですが、きちんと意味を捉えられていなかった参加者も多いようです。「日本には18851人のHIV感染者がいて、8593人のエイズ患者がいます。世界には3670万人のHIV感染者がいるので、この数が多いのか少ないのかという点は分かりませんが、実際にはここで示した公称人数の5〜10倍はいると言われます。今ではエイズは死の病ではなく慢性疾患ですが、その治療費はとても高い。1人1日7000円、年間で200万円がかかります。このうち保険でカバーされるのは140万円。個人負担は60万円です。今、この病気に罹っている人はもちろんこのシステムの中でしっかり治療をすべき。でも、知識さえあれば予防できるエイズにこんなに多大な費用がかかることはぜひ知っておいてほしい」たとえば東京都だけに絞ると、エイズ治療の医療費として毎年約10億円がかかっているとか(豊洲ばかりに目を向けている場合ではないかも!)。「高齢化社会で医療費増加が問題視されていますが、エイズを減らすことも医療費削減にもつながるんです」
その後はHIVとインフルエンザのウイルスの大きさや形状の違いを学び、比較するとHIVがいかに罹りにくいか、ということを実感。参加者からも「自分の身を守ることが社会の利益につながることに気づきました」「子どもにも家庭の中で教育をしていきたい」「日本の性教育が遅れている理由はなぜですか?」など、盛んな意見が交わされます。「私たちは、要請があれば全国どこでも講演に伺います。エイズは知識が最大の予防策。子どもたちが自分たち自身で健康を守り楽しい人生の機会を失わないために、この知識をもっと届けたいんです」