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植物と共生し共創するトキ

「植物は動物や人に先駆けて地球に生まれ、食料を提供し薬まで与えて命を救ってくれる。だから私は植物に尊厳の念を持っています」と又右衛門さん。トーカーズテーブル会場を象徴する、根ごと植栽した国内外の植物が濃密に生い茂るグリーンアートを手がけた“緑匠”です。コンセプトは「国内外の植物が融和した空間をつくりだせたら」というもの。「日本の植物には四季に育まれた繊細さが、海外の植物には厳しい気候で生きてきた大胆さと強烈なパワーがある。そういう植物のメッセージを感じて欲しい」と言います。
一方、写真家の東さんは広告やファッション誌などで幅広く活躍しつつ、「レット症候群」という病気の患者を撮影した作品などドキュメンタリーフォトも手がけています。キレイな写真とドキュメンタリー、二つの世界を両立させるのは、東さんの「対象の美に向き合う」ポリシー。「ファインダーを通すと対象が私に語りかけてくる。そこに愛をもって向かうことが大切です」。
作品作りで又右衛門さんがこだわるのが植物を「一つも枯らさない」こと。「海外の植物を日本へ移送する際は必ず現地へ。土から抜いた植物はすぐに飛行機で運ぶことはせず、生命力が回復するのを待って一緒に船で移動します」。こうした見えない部分があっての美しさが、又右衛門さんのグリーンの魅力。「会場のグリーンに茶色く変色した部分がありますが、これは次の命が生まれるための変化なので切りません。上辺の美しさだけではなく、そうした時間のつながりもデザインするのが大事です」。東さんも、被写体の上辺だけの美しさだけではなく、それぞれの奥にある美を引き出すことにこだわります。「たとえばメルセデスを撮るとしてGクラスとSクラスでは違う美があり、その裏側にあるデザイナーの想いや愛情も伝わってきます。どこを強調すべきか見えてくるのです」。休憩時間は、東さんのアドバイスのもと会場のグリーンアート撮影に挑戦。「自分が可愛いと思える子をじっと見て、ぐっと寄って」と声をかける東さん。皆さんそれぞれの “美”を探して、スマートフォンにおさめます。後半は「都会での緑との共生の仕方については?」「温暖化が進む未来の学校の植栽に適した植物は?」など参加者から興味深い質問が。そして最後はグリーンをバックに、皆さんの“とっておきの一枚”を東さんに撮影していただくワークショップ。最初は緊張した面持ちの方も東さんの手にかかるとぐんぐん良い表情に。一人一人の魅力を素早く引き出すフォトセッション、大いに盛り上がりました。「緑という字は縁と似ています。今回皆さんと話をさせていただいたのもご縁があったから。緑も、皆さんに見られて今日は喜んでいる。それが私には何よりです(又右衛門さん)」。

「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」届けるため、まだ見ぬ植物や人びととの出逢いを求め、世界を奔走する「又右衛門」。
植物と大地への尊敬の念を持ち、植物の「生」へのこだわりと国際ルールの遵守を第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価されている。
主な実績は、ベルギー王立園芸協会主催「ゲント・フロラリア2016」外国人部門3位。「ソウルガーデンショー 2016」特別招聘出展。

人物やクルマを専門に広告・雑誌などの撮影を手がける。
NYCで開催の世界最高峰写真コンペ(IPA)にてHonorable Mentionを4度受賞。
2013年、ポーランドでの撮り下ろしファッション写真集Glossを出版。2015年、Sony Mobile Xperia広告出演。同年、AKB48マドンナの選択のMVで初の動画撮影。2016年、阪急西宮ガーデンズにて、個展「レット症候群写真展」開催。