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時代を生きる・感じる・創る

ファッションデザイナーと飴細工師、異色のコラボは中里さんの呼びかけで実現しました。「私が制作や表現をするのは、人と物、物と物がぶつかり合った接触の瞬間を見つけたり拾ったりする感覚。普段は接点のない手塚さんと会うことで、何か新しい物が見えるかなと」。手塚さんは物作り一筋。面白い物作りを探して飴細工に行き着いたそうです。「冷えて固まるまでの5分ほどで形をつくる。腕一本が試されるところが飴細工の魅力です」。実際に飴細工を披露してもらうと、電気窯で溶かした飴に、ハサミで切り込みを入れたり、跡をつけたり、あっという間に精巧な金魚の完成! 「飴細工は江戸時代以前からありましたが、文献はありません。好きな人が路上で続けて、滅びかけながらも受け継がれてきたのでしょう」と手塚さん。「伝統工芸で、産地や技術だけが一人歩きして手段と目的が逆になっているようなものには危機感を感じます。でも、何かを作るとき、単純に直感ではなくそこに普遍的なものがあるのも事実。例えば高級磁器や置き時計など、デパートの美術品フロアにあるような物は、結果として永遠に求められたりします。私はそこに新しい時間軸を感じたりもします(中里さん)」。 最後は、お二人によるワークショップ。中里さんが一枚一枚デザインした紙にそれぞれが今思う大事な事を書き、折り畳んだら手塚さんが飴に封じ込めてくれました。「飴の中に今の思いを封じ込めることで、新しい時間軸を皆さんと作りたい(中里さん)」。ポップな紙の模様をレンズのように映し出す飴は、愛らしくもどこか宇宙的な輝き。その飴を、中里さんが用意したデコレーション小物で思い思いに盛っていく皆さん。気づけば予定時間を軽くオーバーしていました。「話が独特で面白く、作るのが楽しくて時間を忘れていました」「3時間あっという間。普段は仕事に追われて現実的なことしか頭になかったけど、こういうことを考える時間も貴重だなと思いました」。思いを封じ込めた飴の輝きを見つめるたびに、きっと新しい時間軸への一歩を踏み出せることでしょう。

立教大学文学部文芸思想専修総代卒業。「ここのがっこう」にてファションデザインを学ぶ。現在、東京藝術大学大学院博士課程在籍中。2014年 アートフェア東京にて美術手帖賞、インターナショナル・タレント・サポートにて日本人初ジュエリー部門グランプリ・スワロフスキーアワード、アートワーク部門ファイナリスト選出。2015年 平山郁夫文化芸術賞受賞。2014年 NORIKONAKAZATOを始める。

浅草飴細工 アメシン 代表
幼少より造形や彫刻に勤しみ、全国・世界各地にて製作実演や教室、オーダーメイド等を数多く手掛けてきた、世界屈指の技術力を誇る飴細工師。
2013年、東京浅草に飴細工の工房店舗「浅草 飴細工アメシン」を設立。
2015年には東京スカイツリータウン・ソラマチに2号店をオープン。
現在、7名の弟子を抱える。