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福祉の新しいホームグラウンド

会場を彩る、爽やかな色味のアレンジメントやガラス容器に入った個性的なドライフラワー。障害福祉サービス事業所、「アプローズ」の利用者がこの日のために制作したそうです。「年に数回、誰かに花をあげることで障害者の方の工賃に還元されて社会貢献できる。この仕組みを普及させたかった」と光枝さん。前職の東京都職員時代、福祉保険局では障害者の工賃アップに奮闘するも、都庁職としてできることはわずか。自分の足で一歩でも改善に向けて進めたいと退職し、3年前にアプローズを立ち上げました。「“福祉なので助けてください”ではなく、魅力的な物を作ってお客様に買っていただく努力が必要。作業所もあえて有名花店がこぞって出店する東京・南青山に開きました」。花の制作指導員には、一流店で腕を磨いたフローリストたちが就任。商品としてのクオリティを保ちつつ作り手の個性を引き出す指導体制が実り、今では装花を毎月議員会館と首相公邸へ納品するまでに。「最初は自信が持てず納品が不安でしたが、今では納品が好きです。お客様の笑顔をまた見るために努力したい」と、多くの作品を担当する利用者の森田さん。「お客様からありがとうというリアクションが伝わって、利用者も前向きになれる。花の仕事のなかで、いい連鎖が生まれていると感じます(指導員の山田さん)」。来年には、表参道でカフェを併設した路面店の出店を計画しているそう。「福祉を前面に押しださず、居心地がいい空間だから、おいしいからと足を運んでいただきたいですね(光枝さん)」。アプローズの素敵な取り組みに、参加者からは障害者との向き合い方や、福祉と花の指導の連携についてさまざまな質問や意見が飛び交います。“これからの理想的な事業所とは?”のグループ発表会では、「障害者に十人十色の未来の選択肢を広げていける体験の場が欲しい」「企業と障害者がよりハッピーになれるよう、情報共有を深めてマッチングを進めたい」など、有意義な意見が続々。「出会いの場さえあれば福祉と社会の接点となる新しい形があるはず。実現に向けて一歩ずつ前に進めたらその先に幸せがあるのかな。スタッフと利用者さんと一丸となって頑張ります(光枝さん)」。福祉に関わりがある人にもそうでなかった人にも、障害者と社会の明るく優しい未来を想像できる貴重な時間となりました。