冬の火鍋と、温かくも懐かしい台北ローカルの賑わい—旅する料理人とおいしい話 vol.8

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12 NOV 2020

「ごはんと旅は人をつなぐ」をテーマに、世界中を旅しながら美食を追い求める料理家・山田英季さん。世界各国を渡り歩いてきた山田さんが旅先で出会った、おいしくて美しい食べ物にまつわるストーリーと再現レシピをお届け。第8回は、“食べるのに忙しい”グルメ大国、台湾・台北。活気溢れる蚤の市「重新橋観光市集」と、心も体も温まるローカルフードのお話。

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朝からフルパワーの台北・蚤の市

台北という街は、いつ訪れても明るい気持ちになる。太陽の日差しが憎らしいくらい強い日も、しっとりと雨が降る日も、どんなときも楽しい街だ。ひとつ悩みがあるとすれば、どこで朝ごはんを食べようか? 昼ごはんは? 間食は? 晩ごはんは?と忙しなく考えをめぐらせるほどおいしいものがあるにもかかわらず、胃袋はたったひとつということだ。

2019年9月、朝日とともに羽田を出発し台北へ向かった。

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台北にはAM8:00過ぎに到着。そのままホテルへと思ったけれど、アーリーチェックインのお願いをしていなかったので、朝ごはんをしっかり抜いた胃袋をひとまず埋めることに。台北駅からMRTに乗り、三重駅にある「重新橋観光市集」へ向かう。三重駅に到着すると、目の前には芝生が綺麗なNEW TAIPEI METROPOLITAN PARKがお出迎え。雨じゃなかったら、少しゴロゴロしてみたい。

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駅からおよそ徒歩5分、途中に出会うレトロな指示看板を横目に進みながら到着。蚤の市はすでに地元の人で賑わっている。露天の乾物売り、野外マッサージ、そして日本の将棋のような「シャンチー」なるボードゲームに興じるおじさま方。台湾らしい物や人とたくさん出会うことができる。焼売のような、餃子のような、名もなく売られた何かとてもおいしいものをつまみながら歩く。

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お茶の葉っぱはこのように売られている (4915)
お茶の葉っぱはこのように売られている

しばらく行くと、古着や雑貨の通りに差し掛かった。猛烈に買い物に集中しすぎて、うっかり写真を撮り忘れそうになる。ここでは台湾の古い器や急須、グラスなどが格安で手に入るので要チェック。おもちゃ売り場の脇では、少年が眠りこけていた。きっと朝が早かったんだね。

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身も心も温まる、賑わいとローカルフード

そうこうしていると、いきなり野外フードコートが出現。

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おいしそうなものがたくさんあるなか、僕がチョイスしたのは「乾意麺王」。魯肉飯のお肉のようなものが、平打ちのちぢれ麺にかけてある代物。これが、うまい。肉は醤油と砂糖で、少し濃いめに甘辛く味付けられているので、これでもかと麺に絡む。汁ありのタイプもあるが、絶対にこの油そば的な方を頼むべきだ。このあと焼売のような餃子なども食べ、大満足な朝ごはんと買い物でした。

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なかなか旅に出かけられない昨今。去年の9月に行った旅のことを今回は書きました。冬の気配を感じる東京から、いま台北に行けるなら、温かい火鍋で体のなかからポカポカ温まりたい。そんな気持ちから、今回は台湾風の温かい鍋のレシピをご紹介します。

【台湾風の出汁でつくる豚肉の辛い鍋の作り方】
材料:2人分 調理時間:30分

豚しゃぶしゃぶ肉 200g
もやし 1袋
にら 1/2束
絹ごし豆腐 1丁
しょうが 5g
にんにく 1かけ
ごま油 大さじ1

A
手羽中 300g
干し海老 8尾
干し椎茸 2枚(前日に水で戻しておく)
水 1ℓ

B
豆板醤 大さじ2
粉唐辛子 小さじ1
オイスターソース 大さじ3

<作り方>

①鍋に、Aを入れて一煮立ちさせ、蓋をして弱火で30分煮る。

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②にらは、5cm幅に切る。にんにくとしょうがは、みじん切りにする。

③別の鍋にごま油、にんにく、しょうがを入れて、弱火で香りを出す。

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④③にBを入れて、軽く煮詰め、①を注ぎ入れ、一煮立ちさせる。

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⑤④に絹ごし豆腐を手で大きめにちぎりながら加え、もやし、にら、豚しゃぶしゃぶ肉を入れて、火が通ればできあがり。

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山田英季(やまだ・ひですえ)

Profile/料理家。フレンチ、イタリアン、和食などのレストランでシェフを歴任後2015年に〈and recipe〉を立ち上げ、「ごはんと旅は人をつなぐ」をテーマに活動中。著書に『にんじん、たまねぎ、じゃがいもレシピ』(光文社)、『かけ焼きおかず かけて焼くだけ!至極カンタン!アツアツ「オーブン旨レシピ」』(グラフィック社)など。
noteでレシピを公開中(毎週火曜、木曜、土曜、日曜の週4日更新)。
「Reizoko ni ALMONDE-冷蔵庫にあるもんで-」
https://note.com/andrecipe1102

http://andrecipe.tokyo/
https://www.instagram.com/andrecipe/

Text & Photography by YAMADA Hidesue
Edit by NARAHARA Hayato

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