昭和から平成、そして令和と、時代が進むにつれて変化する、ものごとの価値観。特にここ数年は、社会的に大きな変化が起こり、ファッションやメイクなど、比較的短い周期で流行が変化するものに関しても、これまでの価値観を根本から見直すタイミングが訪れています。

そんな目まぐるしい変化の時を経て、美容やメークはどのような存在になっていくのでしょうか? そのヒントを掴むため、美容ライターの長田杏奈さんと「ディエム クルール」担当の石崎眞里奈が対談。世の中の価値観の移り変わりをとらえながら、美容と自分の心地よい関係を考えます。

美容を通して感じた、自分自身と社会の変化

—美容業界で仕事をしているお二人。2019年に出版された長田さんの書籍も、記憶に新しいかと思います。

長田:私は15年以上この業界にいますが、「こうあるべき」という像を設定し、そこに向かって自分を近づけるような提案をすることに、ずっと違和感がありました。さらに性別二元論や異性愛を前提に多くの異性にモテたり、年齢より若く見せるためのツールとして、美容が当たり前のように使われるようになって、「この現状をどうにかしなければ」と危機感を持っていたんです。だからこそ書籍では、自分を慈しみ愛するための、セルフケアとしての美容の考え方を伝えていきました。

長田 杏奈さん

石崎:私自身も、高校生から美容に興味を持ち始め、大学生になってから本格的にメークをし始めたのですが、確かに当時は「美しさはこうだ」という指標があって、それに近づけようと一生懸命でした。肩肘張ってやるものだと思って、時間をかけてメークをしていましたね。

—その後、変化はありましたか?

長田:本を出してから2年ほど経ちますが、「もう自分が言わなくても大丈夫だな」と思えるようになりました。女性誌のタイトルや見出しにも、「モテ」というワードが使われなくなり、代わりに「ご自愛」とか「セルフラブ」といったワードが使われるようになりました。私がこれまで嫌だと思っていた偏りや固定観念が、弱まりつつあると感じています。

石崎:私自身も、「メークってそんなに頑張らなければいけないものなの? それよりも、自分が心地よくあるためにしたい」と思うようになって。コロナ禍でリモートワークになったことで、いい意味で自分中心になり、メークが自由になりました。毎日会社に通勤していた頃は、人にどう見られるのか気にしながらメークしていましたが、自分と向き合う時間が増たことで、自分にとってのビューティーが何かを考えられるようになったように思います。

長田:自分の軸を社会やコミュニティに持たせすぎていると、そこから外れた人が目について、自分は周りに合わせているのに、あの人は合わせていない、ずるいと排除する方向へ考えてしまうんですよね。一方で自分に軸を置き、自分が心地いいと思えるかどうかを考えることがスタンダードになることで、心地よさや美的感覚は人それぞれであっていいんだなと、腑に落ちるようになるのではと思います。

自分のため、そして環境のために。これからの「美しさ」とは

—ボディポジティブや多様性という言葉がメディアでも使われ始め、これまでの「美しさ」の概念が覆されたと感じている人も多いと思います。これから私たちの意識は、どのように変わっていくと思いますか?

長田:まず「メイクはマナーであり、義務である」という考え方は淘汰されていくのではないでしょうか。若さ至上主義やエイジズム(年齢による偏見や差別)が見直され、年齢を重ねた大人の女性像も、もう少しみんなの実態と近くなっていくのではないかと思います。イメージモデルを起用する時の観点も変化するでしょうし、“憧れ像”もリアルなものになっていくかもしれませんね。

石崎:私も「誰かのためのメイク」はなくなっていくと思います。メイクのジェンダーレス化もその象徴かな、と。その時の自分の気持ちに正直になって、誰もが自分らしさを表現できる時代に変わってきたことに、私自身も嬉しさを感じています。

石崎 眞里奈(株式会社ポーラ ブランドクリエイティブ部 メーク開発チーム)

長田:それから私の変化としては、環境へのやさしさも商品を選ぶポイントとして重視するようになりました。若い世代が気候正義や動物倫理に関心がある中、上の世代が配慮のない態度で居続けることは良くありません。環境に配慮したパッケージであるかどうか、クルエルティフリーかなどもちゃんと考えているブランドを、責任感を持って応援していかなければいけないと感じています。

石崎:SDGsはみんなが取り組まなければいけない課題ですからね。地球環境に配慮し、自然と共存しようという感覚は、私自身も大事にしています。
一方で環境についても、多様性やボディポジティブについても、今はまだ、無理にでも全体の意識を上げていかなければいけない雰囲気がありますよね。そこに窮屈さを感じている人もいるような気がしています。

長田:そうですね。「今までの自分の価値観ってなんだったの?」と混乱している人も少なくないと思います。でも、大切なのは、自分はどうありたいのかを考えていくこと。日本は同調圧力が起こりやすい面もあると思うので、「自己中心的かも」と思うくらいで丁度いいと思います。慣れてくれば、新しい価値観をもう少し平常心でとらえられるようになるはず。

石崎:必ずしもありのままの自分を認めなければいけないという話ではなく、変えたければ変えていい。どちらもあっていいと思えるようになった時、自分にとって心地いい美を楽しめるようになっていくのだと思います。

ひとりの中に、無限の色。新しくなったディエムの魅力

—お二人は、美容にどのような魅力があると考えていますか?

石崎:私にとって美容は、ときめきと自信を与えてくれる魔法のような存在です。やる気が出ない時や気分が落ち込んでいる時も、お気に入りのコスメでメークをすると、むくむくとやる気が湧き出てくる。自分を活気付けてくれる、不思議な力があると思います。

長田:私はお花が好きなのですが、そこで感じる質感や色への感動がコスメにもあると思うんです。しかもコスメの場合は、メークをすることで自分と一体化させることができる。内面の気分と外見をハーモナイズさせてくれるのが、すごくいいですよね。

—まさに2021年3月にリニューアルされた「ディエムクルール」も、その人の魅力を引き出すブランドとなりました。

(左から時計回りに)化粧下地のプライマーL、ツヤ×マットの2層リップで唇の自然な質感と立体感を演出カラーブレンドデュオリップカラー、スティック状チーク&ハイライトのグローブラッシュスティック、マーブルカラーで透明感とツヤ感あふれるような目もとを演出するカラーブレンドグローアイカラー。

長田:実はリニューアル前の商品を実際に使ってみたことがあって、こういうきれいな色が自分に合う肌色になるのがすごいし、美しくて夢がある商品だなと思いました。そしてリニューアル後、多様性の時代の空気にしっかりと噛み合ったコンセプトを打ち出していて、新鮮な魅力を感じました。

石崎:そう言っていただけて嬉しいです。「ディエムクルール」のアイテムは、肌を覆い隠すのが苦手な人も受け入れやすく、色を使って自分の肌の色を引き立てることができます。製品特性と、「ひとりの中に、無限の色。」というコンセプトが合致したことで、新しい価値観を持った方々にも伝わるメッセージが打ち出せたと実感しています。

長田:ポーラは大きいブランドですし、日本の美容の価値観に道義的責任を負う側面もあると思うのですが、「ディエムクルール」はそこがしっかりと果たされていますよね。ただ美容の製品をつくって売るのではなく、私たちに寄り添いながら時代を切り拓こうとしている。その熱意に、これからも期待しています。

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