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まるで私たちに語りかけるかのような
“動き”を感じる作品を生み出す

書家の紫舟さんの語り口は、とても穏やかで静か。
ひとつひとつていねいに選びながら語られる言葉からは、彼女ならではの世界観と類い希なる美のセンスがひしひしと伝わってきました。

【革新】 "平面の中でなお、立体的に見えたり感じるものを"

――『書の彫刻』をはじめ、紫舟さんのアートは常に革新的ですが、どのような想いで作品づくりに取り組んでいらっしゃいますか?
まだ誰も見たことのない作ったことがない作品を…と思っています。それが「つくりたい」なのか、「つくろうと思っている」のか、「つくるべき」なのか、そのあたりは自分でもよくわからないのですが、誰も作ったことがない、触れたことのないものの創作を常に思っています。

――書の彫刻はもちろんのこと、紙にしたためられた書も、とても立体的で躍動感に溢れていますが、そのように書かれる理由を聞かせてください。
書は、色々な方々が様々に表現できる分、書く技量以上に、一枚を選び抜く“目”もとても重要です。そのため、私自身も本物を見る“目を育てる”訓練を長く継続しています。
本物の和がある京都や歴史ある奈良に赴き、一流のものを見ることを繰り返しています。いいものには必ず共通点があり、立体的に見えるのです。
書は平面ですよね。だからこそ、見えるようなもの感じられるものを書きたいと思っていました。それが躍動感という印象に繋がっているのかもしれませんね。

【生命美】 "生に寄り添うのは死。どちらが希望でどちらが絶望でもなく"

――紫舟さんの書く文字は、まるで生きているようにも見えるのですが、生けるものが持つ美しさ=生命美をひと文字で表すとしたら、何になりますか?
生に寄り添う"死"だと感じます。"生"と"死"一見真逆に感じられるのですが、"光"と"闇"と同様に、それぞれは対局にあるのではなく相反するのではなく、常に寄り添い存在しています。どちらか一方だけでは決して成り立つことはなく、補い合い、支え合い、共存している。どちらかが希望で、どちらかが絶望ということでもなく。
人生の中でも、出口と思っていたところが実は入り口だったり、終わりだと思っていたら実はそれは始まりだったりということがありますよね。

【再生】 "書家への転身を経て、ようやく本当の自分になれた"

――会社員を経て、書家へ転身されたとのことですが、女性にとって転職は大きな転機。紫舟さん自身が転職を経て感じたことを教えてください。
職業を変えたことで、人生を2回生きた感じがします。人生の上書きではなく、ある意味、死のようなものを経て、新しく生まれ直した感があります。仕事に費やす時間は、一日の中でもっともいい時間帯を占め、人生の中でも生命が満ち足りた花盛りの時期ですよね。仕事を変えるだけで生まれ直せる、再生できる、というのは言い過ぎではないのかもしれません。

――生まれ直してみた感想はいかがでしょうか? それまでの人生は、両親からプレゼントされた名前で、たまたま自宅があった地域で通う学校が決まり、そこから社会に出るときも、私の場合は、自分で決めているようで実際は何も決めていなかったのかもしれない。自分に合わないものをたくさん持っていたような心の重さと、もう着ることができなくなった小さい洋服をずっと着ているような苦しさがあり、書家になるまでは自分の人生でありながら、自分ではなかった気がします。
書家としての名前ができ、いる場所、やることを、自ら決めて、人生の大きな流れを感じながらいる今は、自分になれた気がするのです。

【エイジング】 "若さゆえの不安やおびえ青さからの解放"

――歳を重ねることに対しては、どのように感じていらっしゃいますか? 老化に対して抵抗を感じる日本女性は少なくないと思いますが。
書家ときくと、白髪で年齢を重ねているイメージですよね。それで書家になりたての頃は、大人っぽく歳を重ねた雰囲気に見えるようにしていました(笑)。
その頃から比べると、年齢につきまとう“若さ”や“青さ”からは解放されていますね。
水泳選手の友人が「20代の頃は記録を出すために、○○をすると結果が出ないのではなどと心がたくさんの制約に縛られていたけど、30代になるとその怯えを手放せ、自由になり結果を出せるようになった」と話していたのですが、それと同じで、若さゆえの恐怖心や不安、怯えのようなものを手放すことができて、もっとリラックスし穏やかな時間に自分を包むことができるようになった気がします。

――では、肌のエイジングに関してはどうでしょうか? 肌は血液が通り生きているので、ケアしてあげると、応えてくれますし、蘇ると考えています。いい食事を摂り、体が喜ぶことをして、ステキな情報を心と体に入れることも大事にしています。
書の道具も、使い方次第で、その機能を最大限に引き出せます。筆の毛は血液が通っていませんが、丁寧に扱っていると一生使えます。正しい使い方も大切ですね。
今回、B.Aをクレンジングからクリームまでフルラインで使ってみましたが、自分自身の日々のケアの中で欠けていたもの、補うべきものがわかりました。とくに感じたのはクレンジング。丁寧に落とせていなかったと知り、肌に負担をかけていました。

【美しさ】 "小さなことをやめないで続けるようにしています"

――紫舟さんが美しいと感じる女性はどのような方ですか?
人は美しいと、思います。人は心があるので美しい、どうあれ人は美しいと思います。
私は一所懸命な人が好きです、情熱をもってキラキラ輝く姿が好きです。

――ご自身が美しさを保つためにしていることは何ですか?
体や肌は、日々の中で、休ませながら使ったり、気にかけていくことで、成長したり、発達すると考えています。
私は手を使う仕事なので、右手を使いすぎないように、休ませることも仕事の中に取りいれています。筆は軽く筆先の墨の重みだけで書けるのですが、ペンは筆圧が必要ですのでペンを持つ時間はずいぶん減らしています。
書家になった当初は、スケジュール帳やメモ帳に文字をたくさん書き込んでいて、腱鞘炎になりがちでした。今では、手を休ませるために、目や耳、脳を使って覚えるようにしています。もちろんデジタルの力と人の記憶力も借りてですが(笑)。
ほかにも続けられる範囲で運動をしたり、食事の質を考えたり、毎日同じ時間に就寝する、1週間単位で疲れを手放すなど、小さなことをやめずに続けています。結果、手や体が応え続けてくれているようです。

書家/アーティスト
紫舟さん

文字に内包される表現や感情を書に引き出し、書=平面という常識を打ち破る立体的な書の彫刻は唯一無二。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の題字では、第5回手島右卿賞、G1サミット新世代リーダーアワードを受賞。ミラノ国際万博日本館の空間を担当。ルーブル美術館地下で開催されたフランス国民美術協会展で、最高位である「審査員賞金賞」の栄冠に輝く。本年も同展にて横山大観氏に続く主賓招待作家として、パリの同会場にて大規模展示に選出されるなど、世界中から高く評価されるアーティスト。

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