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「働き方の革新が、人生を生まれ変わらせてくれた」

コンサルティングや数々の講演で、ご自身の実体験をもとにしたワーク・ライフバランス(仕事と生活の調和)を提唱する小室淑恵さん。
お話の上手さはさすがのひと言、ドラマチックな半生は驚きと気づきの連続でした。

【内なる美】 "心の健やかさがつくる年齢を感じさせない表情美"

――経営者であり、妻であり、母でもあるお忙しい毎日ですが、その中でも、美しさのために心がけていることはありますか?

きちんと寝る、これに尽きますね。人の機嫌って、睡眠にすごく左右されるでしょう?寝るべき時間に寝ておけば、いつも機嫌よくいられる。「それのどこがエイジングケア?」と思うかもしれませんが、私は"表情のやわらかさ"こそエイジングケアの基本だと思うんです。どんなに自分の前では穏やかな顔をしている人でも、眉間に深い縦のシワがあったら「この人、ほかの場所では常に怒ってるんだな」とわかっちゃう(笑)。表情で作られるシワって、その人の内面まで表してしまうんですね。きちんと寝て、常に機嫌のいい状態を保つことで、深いシワの出来る隙を与えないように心がけています。

【多面性】 "自分の中に何本もの柱を持つことで人は安定し、いきいきと輝ける"

――睡眠はいきいきとした肌に不可欠ですが、内側からの美にとっても同じということですね。小室さんが"いきいきとした美しさ、生命美"を感じる存在とはなんでしょうか。

身内の話をするのはちょっと気が引けますが……。うちの社員は全員、仕事と同時にいくつものことをこなしていて、子育て中のママもいれば、育児休暇中の男性も、家族の介護をしている人もいます。バタバタしつつも、自分の大切なもののために1日をやりくりしている人を見ると、「ああ、生命力あるなあ」と思いますね。それは独身の人も同じで、例えばある女性はマラソンをやっているのですが、チャリティの大会に参加して集めたお金を寄付する活動をしているんですよ。

――働きながら、そんな活動まで!かっこいいですね。

うちは18時に全員退社するので、仕事の後の時間も余った体力もほかのことに回せるんですよ。
みんな、ひとつのことにしがみつくのではなく、自分の中にいくつもの面を持っていて、それが柱のように自分を支えているんです。複数だから精神的にとても安定しているし、仕事だけよりも何倍も社会に貢献してくれている。本当に素晴らしいなと思っています。

【再生】 "19時に会社を出ただけで仕事も恋愛もすべてが順調に"

――ワークライフ・バランスとは"仕事と生活の調和をとることで、双方にいい影響を与え合う"ことですが、その重要性に気づいたのは小室さんご自身の体験がきっかけだそうですね。

そうですね。実は私も若い頃、当然のように長時間労働していた時期があったんです。会社に貢献している自負はありつつ、いつも自分だけが頑張っているような孤独感でいっぱいでした。ある日私が残業していると、ある上司に「いつもこんな時間まで残ってるのか!」と、ものすごく叱られたんです。それからは仕方なくカフェに移動して仕事をするように。そうしたら、場所を変えただけで視点や発想が変わって、いろいろなアイデアが浮かぶようになったんです。さらに友達を誘って食事に行けば、何十軒電話してもダメだった営業のアポイントが、友達の紹介で一発で取れちゃったり。

――残業しても終わらなかった仕事が、早く帰るようにしたら逆にスムーズになったと。

その上司はものすごい人脈をたくさん持っている人で、だから私を怒ったのも、本当はそういうことを言いたかったのかなと。しかも当時の私は、付き合っている彼に対しても"自分が会社でどれだけ頑張っているか"って話ばっかりしていたんです。彼もいい加減うんざりしていたんでしょうね、だんだん関係が冷えきってきて(笑)。でもそれも、会社の後にごはんに誘ったり、きちんとコミュニケーションを取っていたら関係も改善して、19時帰社を始めた一年後 に結婚できたんです。その上司には、今はもう感謝しかないです(笑)。

【発見】 "出産・起業を機に見つけた自分らしい暮らしと理想の働き方"

――これまで転機は何度もあったと思いますが、中でももっとも大きなものはいつですか。

一番変わったのは長男が生まれた時です。出産と起業がほぼ同時だったので本当に大変でしたが、もしあのタイミングで生まれていなければ、起業したての会社で社長自ら18時に帰る、なんてこともしなかったと思いますから。実は最初は、事情のある私だけが18時に"帰らせてもらう"形だったんです。そうしたら常に肩身が狭く、周りに申し訳ない気持ちでいっぱいで。その時に初めて、本当に必要なのは事情がある人への特別な配慮ではないことが分かった。みんなが残業せずに時間内できちんと成果を出した人が評価される、フェアに競えるシステムなんだと気付けたんです。

【革新】 "諦めない情熱と行動が困難をさらなる進化の出発点に"

――ご自身が働くママの気持ちを経験したことで生まれた"18時全員退社"のルールですが、既存のやり方から現場を変えていくには、やはり苦労も大きかったのでしょうか。

ええ、最初は大反発を受けました。「たくさん働いて成長したいのに」と。でも私の若い頃ならまだしも、今はそういう作業は全部パソコンがやってくれる。今後ますますIT化される中で、人間に残される仕事は"付加価値をつけること"なんです。
 B.Aもまさにそうですね。女性の肌が生まれながらに持つ力を引き出し、エイジングケアの新たな可能性を広げるという付加価値を持っていますから。
人材でいえば常に新しい情報を持っているとか、何か国語も話せるといった武器が必要で、それにはひたすら勉強し続けなければいけない。そう説得したら、「僕、もっと勉強したいんです!」と、社員たちも変わっていきました。

――新しいことを始めるたびに苦難にぶつかり、それを乗り越えることで今の小室さんがあると感じました。

そうですね。いつも受難が来て、それによって何かに開眼する、の連続です。実は、私には「憤りリスト」と呼んでいるものがあって。憤りリストの解決策を右側に書いていたんです。右側はそのまま「やるべきことリスト」になるんです。状況をただ憂うのではなく、変えるための行動をとる。それをずっと続けてきたことで、今の会社や生活スタイルに辿り着けたように思います。だから本当に「受難って大事だな……」って。その時はすごく辛いけれど、やっぱり真剣に悩むようなことがなければ新しい道も開けないんですよね。

【多様性】"バラバラ、だからこそ互いを補い合える。これからは「チーム」で機能する時代"

――女性の生き方、働き方は今どんどん多様化していますが、小室さんのお話を聞いていると、この流れはむしろ必然なのかなとも思えてきます。

高齢化が進む日本では今後、子育てに親の介護と、誰もが何かしらの事情を抱えるようになります。個人で競い合うのではなく、誰かが休む時はその空きをみんなでカバーするという、チームの形でしか成り立たなくなるのではないでしょうか。
でもそんな時にこそ、バラバラであることが活きてくるんです。だってもしチームのメンバー全員が保育園の子供を持つママだったら、運動会などの行事のタイミングが一緒になってしまうので。小学生のママ、独身の人、保育園のママ、定年延長をした高齢の人と、バラけているからこそ負担もうまく分散できる。だから決して、みんなが子供を産んで育児してなきゃだめって話ではないんです。私も何年も不妊治療をして次男を授かったので、子どもを持つことがどれほど難しいかも実感しています。それぞれが違いを認めているからこそ、いざという時に助け合える。それこそが多様性の進化、目指すべき姿だと思いますね。

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
小室淑恵さん

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長。美容関連会社在籍中に育児休業者の職場復帰支援サービスを立ち上げ、社内実業家として内外から脚光を浴びる。2006年長男出産とほぼ同時期に会社設立。現在は2児の母として子育てをしながら、効率よく短時間で成果を上げる働き方を自らが実践。各種講演やTV番組などへの出演も多数。2014年9月より安倍内閣「産業競争力会議」民間議員など複数の公務を兼任。近著に「労働時間革命 残業削減で業績向上! その仕組みが分かる」(毎日新聞出版)、ほか著書多数。

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