Vol.15 伝統文化と繋がって。「B.A ザ クリーム 江戸切子」誕生。
――今回のプロジェクトを通して、中心となって協力してくださった堀口さんに、江戸切子に込めた想いをうかがいました。
「江戸切子は、鑑賞用の美術工芸品としてではなく、実際に生活の中で使用するものとして江戸庶民に愛されてきました。いわば江戸っ子の粋が発展させた文化です。だから、切子職人にとって重要な資質とは、切子を使っていただく方のことをどれだけイメージして作れるか、ということ。ぐい呑みであれば、視線の先にくる盃の底の見え方だったり、器であれば手に持ったときのフィット感であったり。今回、化粧容器を制作したのは初めてだったので、いろんな想像をしました。化粧品は女性が毎日使うものですよね。この江戸切子を日々手に取って壊さないようにと大切にしながらお手入れをしていただくことで、肌はもちろん、所作の美しさまで引き出していければ、と思いながら作りました」
「今回の切子のデザインに入れている“八角籠目文”“菊つなぎ文”“菊花文”など、現在の江戸切子には、伝統的といわれる文様が20種前後あります。でも、その中だけで収めようとする必要はないですし、今は存在しない文様で本当にいいものを新たに見つけてずっと継承していければ、100年後、200年後にはそれが伝統的なものになっている可能性もあります。僕にとっての“伝統”とは、いいものをどんどん取り入れて、悪いものをどんどん省略して、そういう流れの繰り返しの中で残ったものを“伝統”と呼ぶ、という解釈。“ガラスをこの東京で削る”ということさえ守れば何でもありだと思っています。ですから、今回のポーラさんのプロジェクトに関われたことは、僕にとって非常に光栄でした。革新的な仕事をする機会をいただいたことに感謝しています。
嗜好品の江戸切子は、使っていただく方がいて初めて価値が出ます。より美しいもの、より使いやすいもの、たまには江戸っ子の洒落を効かせたちょっと笑える遊び心も入れながら、多くの方に使っていただける江戸切子を作り続けたいと思います」
――革新の連続が伝統になる。天保5(1834)年から170余年続いた伝統工芸の担い手である若き匠の口から語られたのは、まさにこの連載のテーマそのものでした。「B.A ザ クリーム 江戸切子」のプロジェクトは、江戸切子業界全体にとっても、ものづくりの可能性を拡げる大きな刺激になったそうです。江戸切子の器を日々愛でながら、ポーラ最高のクリームでケアをする。大人の女性の肌が、毎日がさらに輝いていくはずです。江戸切子とポーラの新しい未来が切り拓かれたプロジェクトでした。
株式会社堀口硝子の創業者・堀口市雄氏(初代秀石)を祖父に持つ、江戸切子界のサラブレッド。2008年、3代目秀石を継承する。2009年、江戸切子新作展にて最優秀賞を受賞。名実ともに今最も業界で注目される若手のひとり。
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灰を溶かした灰汁には、植物の不純物を溶かす作用があります。遥か昔、人々は植物の繊維を灰汁で洗って白い糸をつくったそうです。
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「紅」は、紅花から抽出される鮮やかな色。精製された「紅」は金に匹敵する高級品で、高貴な女性の化粧品として用いられました。


